KUSSOON / 自動運転・AIニュース 基礎ガイド

自動運転は、いま
どこまで進んでいるのか?

運転手のいないタクシーは、本当に走っているのでしょうか。日本はどこまで進んでいるのでしょうか。AIの進化と世界の動きを、初めての方にもわかりやすく整理しました。

2026年10月26日現在 | 掲載内容は各社・公的機関の発表に基づきます
CHAPTER 01

自動運転は、すでに始まっています

「自動運転」は、まだ遠い未来の話なのでしょうか。答えは 「すでに実用化された分野がある。ただし、どこでも自由に走れるわけではない」 です。

米国ではWaymo(ウェイモ)が運転席に人のいない配車サービスを提供しています。一方、日本では地域のバスなど、決められた道路と条件での導入が進んでいます。英国ロンドンではAIによる自動運転の配車サービスが始まっていますが、訓練された乗務員が監視する形です。

ニュースを読む最初のポイント

「試験走行」「監視員付きの営業運行」「完全無人の営業運行」「将来の運行計画」は、同じ段階ではありません。会社の発表に登場する「自動運転」という言葉だけでは、実力を比較できないのです。

数字と映像で見る「本当に走っている自動運転タクシー」

米国のWaymoは、 2025年末までに累計2,000万回以上の乗車 を提供。2026年10月にも週数十万回の商用乗車があると発表しています。 2026年6月末までに、運転席に人のいない状態で約4億3,700万km(2億7,130万マイル) を走行しました。

実際の車内の様子は、 Waymo公式動画「The Future is Now」(YouTube) で確認できます。 初めて無人車に乗る人たちの映像 も公開されています。

出典: Waymo乗車実績 / 2026年10月の発表 / 無人走行距離

CHAPTER 02

レベル0から5まで――何が違うのでしょうか

世界で広く使われるSAEの分類では、自動運転の度合いを0から5までの6段階に分けています。大切なのは「ハンドルから手を離せるか」だけでなく、 運転の責任を担うのが人なのか、システムなのか という点です。

レベル 簡単にいうと 運転するのは
0 運転の自動化なし 人
1 速度かハンドルの一方を支援 人(常時監視)
2 速度とハンドルの両方を支援 人(常時監視)
3 決められた条件ではシステムが運転。求められたら人が引き継ぐ 条件により交代
4 決められた条件では人の運転を必要としない システム
5 人が運転できるすべての条件でシステムが運転 システム

レベル4でも、対応する道路・速度・天候などには制約があります。反対に、便利な運転支援が付いた車でも、運転者が常に監視する必要があるならレベル2です。

出典: SAE Internationalの自動運転レベルの説明

テスラの「オートパイロット」は完全自動運転?

いいえ。テスラの「Autopilot(オートパイロット)」は、速度やハンドル操作を支援する レベル2の運転支援 です。より高度な「Full Self-Driving(FSD、Supervised=監視付き)」も、交差点での右左折などを支援しますが、 運転者が常に周囲を監視し、必要なときは直ちに操作する必要があります 。「Full Self-Driving」という名称でも、無人運転ができるという意味ではありません。

出典: Tesla公式・FSD(Supervised) / Tesla公式・Autopilot

CHAPTER 03

AIは、どのように車を運転するのでしょうか

人間の運転は、「見て、状況を判断し、操作する」の繰り返しです。自動運転車も、おおむね次の仕事を行います。

① 周囲を見る

カメラ、レーダー、LiDAR(レーザーで距離などを測るセンサー)を使い、人や車、信号、道路形状を把握します。使う装置の組み合わせは企業によって違います。

② 状況を考える

歩行者は横断するのか、前の車は止まるのか。機械学習・深層学習を使った認識や予測が重要な役割を担います。

③ 進み方を決めて操作する

加速・ブレーキ・ハンドルの動きを決め、車を走らせます。万一の故障や対応困難な状況に備える安全設計も必要です。

AIが進化して何が変わったのでしょうか

以前から、自動運転には地図やルール、センサーによる制御が使われてきました。2010年代に深層学習が広まると、画像から歩行者や車両を認識するなど、複雑な環境を扱う技術が発展しました。現在は、認識・予測・運転判断をより一体的に学習する「End-to-End(エンドツーエンド)」の手法も注目されています。

ただし、ChatGPTのような会話AIがそのまま車を動かしているわけではありません。自動運転用のAIには、現実世界で安全に動くための学習・検証・制御が別途必要です。

CHAPTER 04

国ごとに見る、2026年の現在地

各国を「進んでいる順」に並べるより、何をどのような条件で実施しているのかを見る方が正確です。以下は2026年10月26日までの確認できた主な動きです。

🇺🇸

米国|完全無人ロボタクシの営業運行

Waymoは2020年、アリゾナ州フェニックスで完全無人の配車サービスを一般に開放しました。2026年には多数の都市に広がり、10月にはサンアントニオ、サンディエゴ、タンパでも一般向けに利用を拡大しました。とはいえ、各都市のすべての道路を走れるわけではなく、サービス地域には範囲があります。

2020年の発表 / 2026年10月の発表

🇨🇳

中国|Apollo Goの運行規模と海外展開

百度(Baidu)のApollo Go(蘿蔔快跑)は、中国でのロボタクシー事業を進め、2026年8月の決算発表では世界28都市への展開、累計3億5,000万km超の自動運転走行を公表しました。走行距離には試験や運用上の異なる状態が含まれるため、その数字だけで「無人の有料運行距離」と考えることはできません。

百度の2026年第2四半期決算発表

🇯🇵

日本|永平寺町から、日立市のレベル4バスへ

福井県永平寺町: 2023年5月、国内初の運転者なしレベル4移動サービスが始まりました。電動カートが旧鉄道跡の約2kmを電磁誘導線に沿って最高時速12kmで走行する方式です。ただし、車両・システムの保守契約などの満了により、 2026年4月1日から運休中 です。

茨城県日立市「ひたちBRT」: 2025年2月から、国内最長と公表される約6.1kmの区間で中型バスのレベル4営業運行を実施。2026年1月末までの約1年間に 延べ8,284人が乗車、約10,096kmを走行 しました。乗務員が乗車する方式で、永平寺町の「車内無人」とは異なります。

ほかに、 千葉県柏市 では2026年1月から一般道約700mで中型バスのレベル4営業運行が始まりました(乗務員乗車)。日本では運行条件を限定した実用化が進んでいますが、米国Waymoのような一般向けの完全無人タクシー営業とは段階が異なります。

出典: 国土交通省・永平寺町 / 永平寺町・運休のお知らせ / RoAD to the L4・ひたちBRT運行実績 / 経済産業省・柏市

🇩🇪

ドイツ|市販車のレベル3にも注目

メルセデス・ベンツのDRIVE PILOTは、条件付きのレベル3としてドイツで承認されました。2024年末に発表された改良版は、一定の条件下で高速道路の最高95km/hまで対応します。「自家用車で条件付きの自動運転」と「無人タクシー」は別の使い方です。

メルセデス・ベンツ公式発表

🇬🇧

英国|AIを使った監視員付き配車サービス

英国のWayveとUberは2026年9月、ロンドンで自動運転による配車サービスを始めました。利用者が一般のUberの配車画面から選べる一方、訓練を受けた運転者が同乗する 監視員付き の運行であり、完全無人とは異なります。

Wayve・Uberの公式発表

CHAPTER 05

自動運転とAIの年表

自動運転の歴史は、AIが突然登場して始まったわけではありません。車両制御、センサー、コンピューター、AIの研究が積み重なってきました。

  1. 大学や研究機関などで自律走行車の研究が進展。現在の商用サービスよりはるか前から、周囲を認識し車を制御する研究が行われていました。
  2. 米国DARPAの自動運転車競技会が、荒地や市街地を模した環境での研究を加速させました。
  3. Googleが自動運転車プロジェクトを開始。後のWaymoにつながります。
  4. 深層学習の発展とともに、カメラ画像の認識などの技術が進歩。実際の道路での試験が広がります。
  5. Googleの自動運転プロジェクトがWaymoとして独立しました。
  6. Waymoがフェニックスで一般向け完全無人配車サービスを開放しました。
  7. 日本の永平寺町で、レベル4の自動運転移動サービスが始まりました。
  8. 各国で制度整備と運行範囲拡大が進展。ドイツでは条件付きレベル3の改良版が承認されました。
  9. 米国では無人配車の営業地域が拡大。中国では大規模運行と海外展開が進み、英国では監視員付きのAI配車サービスが開始。日本でも特定区間での導入が進められています。 日本では、ひたちBRTが前年からレベル4営業運行を実施していましたが、2026年4月から休止しています。柏市では中型バスによる一般道でのレベル4営業運行が始まりました。永平寺町のサービスも4月から運休しています。
日本国内の歩みを詳しく知りたい方へ

日本の自動運転の歴史50項目と、全国47都道府県の実証・運行事例を別ページにまとめています。計画と実際の運行、運休などの違いも確認できます。

日本の自動運転、その歩みと現在地 →

主な年表出典: Waymoの初期開発史 / Waymo独立の発表 / 国土交通省

CHAPTER 06

それでも、難しいことが残っています

自動運転車が走れる地域が増えても、「どこでも、どんな状況でも」走行できるようになったわけではありません。

  • 天候と道路状況: 強い雨や雪、凍結、道路工事、見通しの悪い場所など。
  • 人間の予想外の動き: 歩行者や自転車、割り込み、緊急車両への対応など。
  • 安全の確認: 走行距離の多さだけではなく、事故の内容、運行条件、調査結果も重要です。
  • 制度と責任: 運行許可、保険、事故時の対応、遠隔支援、個人情報の扱いなど。
  • 採算と普及: 車両・センサー・保守・運行管理の費用も無視できません。

「運転手がいない」という事実だけで、安全性や完成度を判断することはできません。事故や運行上の問題があった場合は、その後の検証結果もあわせて見る必要があります。

事故は実際に起きています。公表データの読み方

企業発表: Waymoは2026年6月末までの無人走行データを分析し、運行地域の一般的な人間の運転と比べ、 負傷者を伴う事故が82%少なく、重傷以上の事故が95%少ない と公表しています。事故がゼロという意味ではなく、地域・道路条件を合わせた比較です。

行政機関の資料: 米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)は、自動運転システムが関係する事故報告を公開しています。またテキサス州の オースティン市は自動運転車に関する事故・交通上のトラブルの通報一覧 を公開しています。こちらは事故認定済みの統計ではなく、未検証の通報を含みます。

資料: Waymo事故率・計算方法 / NHTSA事故報告データ 。会社別の報告件数は走行距離・報告条件・事故の重さが異なるため、そのまま安全性ランキングにはできません。

2026年10月、テスラの運転支援使用中に起きた2件の事故

10月13日・カリフォルニア州: FSDを使い、運転中に眠っていたと運転者が説明したテスラ車が、交通規制中のパトカーに衝突。警察官2人が重傷を負いました。

10月22日・同州: 高速道路を横断中の71歳の男性がテスラ車にはねられ死亡。運転者はFSD使用中だったと説明しています。警察による映像の初期確認では、車はブレーキと回避操作を行っていました。 この事故で運転者が眠っていたという確認はありません。

いずれも調査段階の報道であり、運転支援システムに事故原因があると確定したものではありません。テスラ自身もFSDは完全自動運転ではなく、運転者の監視が必要だと説明しています。

出典: Los Angeles Times・10月22日の死亡事故 / 10月13日のパトカー衝突事故 / Tesla公式の利用条件

CHAPTER 07

これから自動運転ニュースを読むときに

新しい発表を見たら、「いつ」「どこで」「誰が」「どの条件で」「実際に客を運んでいるか」を確かめてみてください。

たとえば、同じ『サービス開始』でも

①少人数の招待客だけ、②監視員付きで一般客が利用可能、③運転席に人のいない一般向けサービス、では意味が大きく違います。

Kussoonの週刊ニュースでは、その週に発表された自動運転・AIの動きを、公式発表などの出典とともにまとめています。このガイドで基本を押さえたら、ぜひ最新の記事もご覧ください。

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※掲載時点の情報です。運行地域、条件、提供状況などは変更される場合があります。リンク先の公表資料をあわせてご確認ください。